【整体は魔法ではない】
SNSの投稿を見ているとボキッとして一発で治る?治ったように見える?動画がバズっています。よく見ていると圧痛(押した時の痛み)が減っている、動きが改善している、施術後のすぐの痛みが消えていますので、それは施術効果として充分あり得ます。
しかしそれが翌日、翌々日になったらその効果が持続しているかは分かりません。
SNSではその時のことしか分かりません。
また沢山撮影していて効果が出た人だけ投稿している可能性もあります。
撮影してもらってるし、お客さん側がこう言わないと悪いなと忖度している場合もあります。なのでいい部分を切り取っているだけの可能性もあるということを忘れないようにしておいてください。
たまに一回の施術で劇的に改善する人もいるのも事実です。当院でもありますし、これはどこの整体でもあり得る話です。そのような効果が得られた場合は、お客さんは「魔法の様な整体だった」と表現することもあります。
ここで言いたいのは、整体は一瞬で全てが治るような即効性や劇的変化を期待するものではない=魔法ではないということです。(前述したように1回で大幅な改善がみられることもありますが稀です)
整体は、痛みや不調の原因になっている身体の歪みや緊張を整えることで、「治りやすい状態」に整えていく施術法です。
風邪が自然に治るのと同じように、最終的に身体を治しているのは自分の身体が持つ回復力、いわば自然治癒力なのです。勘違いしてはいけないのは施術者が治しているのではなく治しているのは本人の治癒力なのです。
【整体は身体が本来持っている治癒力を引き出すサポート】
→ 例えば、筋肉の硬さや骨格のズレがあると、血流や神経の流れが悪くなって、回復力もうまく働けません。
整体ではそれを整えて、身体が「回復モード」に切り替わる土台をつくることが目的です。だから、魔法のようにすぐ結果が出るというよりは、身体が「良くなる方向に向かいはじめる」ためのきっかけをつくる感じですね。
【火事と消防車の話】
整体は「火を消す消防車」ではなく、「火事になりにくい家づくり」みたいなものです。
例えば、身体の不調は“火事”のようなもの。
その火を一時的に消す(=痛みを薬で抑える)ことも大切ですが、整体はそもそも「なぜ火事が起きたのか?」を探して、
・配線を直す
・ゴミを片づける
・風通しをよくする
みたいに、「火が出にくい身体(=治りやすい状態)」に整えることが目的です。
だから、すぐに火が消えるような劇的な変化ではなく、根本的な改善を目指していくのが整体なんです。
もう一つ例え話を
【畑と種の話】
身体って、畑みたいなものなんです。
例えば、どんなにいい種(治る力)を持っていても、畑の土がカチカチに固まっていたり、栄養や水が足りなければ、芽は出ませんよね。
整体でやっているのは、その固くなった土を耕したり、水や栄養が行き届くように整えてあげること。つまり、「芽が出て、元気に育つための土台を整えてあげる」ことなんです。
でも、芽が出て、しっかり育つには時間がかかる。
だから「整体を受けた=すぐ治る」ではなく、「整体を受けた=治る準備が整った」という感覚でいてもらえると、すごく良い状態で回復が進みやすいんです。
もちろん土壌が整いやすい人、整いにくい人がいます。
何十年も荒れた土壌であればその土壌を整えるのには時間がかかりますし、土壌が荒れ始めたくらいであればすぐに整います。
なので整体に行こうと思う際には今自分がどのくらいの土壌を持っているのか予め自分に問うことをしてみて下さい。そうすると納得して整体を受けることができると思います。
【なぜ一回で改善してしまうことがあるのか】
前述したように、1回で改善してしまうケースがあるのも事実です。では、このようなケースはなぜあるのかということです。
それは以下の様なことが考えられます。
1、構造的・機能的な「引き金」が明確だったケース
たとえば、筋膜や関節、内臓の可動性、神経伝達のどこかに“鍵となる問題”があり、それが取り除かれることで一気に回復する場合です。いわば「ロックが外れた」状態。
2、自律神経系の急速なシフト
オステオパシーや整体では、神経系に強く働きかけることがあります。副交感神経優位へ一気にスイッチすることで、長らく続いていた緊張や機能低下が解放され、本人も驚くような回復を見せることがあります。
3、心理的な影響(プラセボ含む)
施術や問診、説明によって「治るかもしれない」というスイッチが入り、身体の自然治癒力が急に高まることもあります。信頼や安心、安全の感覚が、無意識レベルで身体に影響を与えたケース。電話して予約したら痛みがなくなったというケースもよくあります。
4、たまたま“タイミング”が合っただけ
施術が引き金になったとはいえ、実際は「もともと回復のタイミングだった」こともあります。寝れば治った、少し休めば回復した、のように。
そのほかにも以下の場合は効果が出やすいです
・痛みが出てからすぐ
・普段の生活習慣が良い
・ストレスが少ない
・固定観念が少ない
・治るイメージの一致
・運動習慣がある
・元々整体への理解がある
・ゴールの共有
などが挙げられます。