〜自律神経と身体構造から考える“症状の出方の違い”〜
「同じように仕事をして、似たような生活をしているのに、どうして自分だけいろんな不調が出るんでしょうか?」
整体院でよくいただくご質問のひとつです。
一見すると体格も体力も似ているように見える2人でも、「症状の出やすさ」には大きな違いが生まれることがあります。
実はそこには、自律神経・骨格構造・ホルモン・感覚処理の差といった、“見えないけれど確かな個体差”が関係しています。
身体のバランス力の違いとは?
不調は「耐震構造の違い」のようなもの
例えるなら、人の身体は「建物の構造」に似ています。
同じような風や地震(=ストレスや疲労)を受けても、耐震構造がしっかりした建物はびくともしませんが、老朽化してバランスの悪い建物は揺れやすく、ヒビ(不調)が出やすくなります。
この「耐震性」に当たるのが、以下のような要素です。
⭕️自律神経の切り替え能力
交感神経(緊張)⇔ 副交感神経(回復)のスイッチがスムーズな人は、ストレスを受けてもすぐにリカバリーできます。
逆に、スイッチが固まっている人は、ストレスの影響が長引き、頭痛・不眠・動悸・だるさなどの症状が出やすくなります。
⭕️身体の“許容量”=回復余力
身体には「どこまで無理が効くか」という個体差があり、これを**ホメオスタシス(恒常性)**と呼びます。
生活習慣、過去のケガや病気、栄養状態などにより、この余力が少ない人ほど「コップの水がすぐ溢れる」ように不調が出ます。
⭕️筋骨格・内臓の連動と歪み
背骨や骨盤の歪みがあると、そこを通る神経や血管が圧迫され、自律神経の働きや内臓の位置にも影響が出ます。
これは、見えないところで“ホースが折れて水の流れが悪くなる”ようなものです。
なぜ女性は症状が出やすいのか?
女性の身体は“高性能だけど繊細なセンサー”のような存在
男性と比べて、女性には以下のような“構造的・機能的な違い”が3つあります。
1、骨盤が可動性重視=不安定になりやすい
女性の骨盤は出産に備えて広く柔軟にできており、仙腸関節の可動性も高いです。
これは“変形可能な柔らかいベッドフレーム”のようなもので、負荷のかかる生活が続くとズレや傾きが出やすく、内臓の位置や血流、自律神経のバランスに影響します。
2、ホルモン環境の変動が激しい
月経・排卵・妊娠・出産・更年期と、女性の体は周期的にダイナミックな変化をしています。
この変動が自律神経・感情・血流・体温調節など、あらゆる機能に波を生みます。
(例)
「今日は頭が重い、むくみやすい」などの症状は、ホルモン変化の影響で自律神経のバランスが崩れているサインです。
3、感覚処理の違い
女性は脳の構造的に“感覚処理・共感・直感”に優れているとされ、身体の小さな変化にも早く気づきます。
男性は“論理的処理や空間認識”を得意とする傾向があり、不調があっても感覚として捉えにくいことがあります。
(例)
女性は「なんとなく違和感がある」と感じる一方で、
男性は「動けてるし大丈夫だろう」と放置しやすい傾向があります。
感じやすい=弱い、ではない
「感受性」はむしろ回復の鍵になる
症状が出やすい人は、
“身体のセンサーが高感度”で、“変化に早く気づける”人です。
これは不利なことではなく、むしろ整体のような“繊細な施術”に反応しやすく、
改善までのプロセスを短くできるチャンスでもあります。なので、大きな病気になる前に未然に予防できるというメリットがあります。女性の方が寿命が長いのも、このような感覚の繊細さが関係しているとも言えます。
症状の出方は“体の言語”の個性
観点 | 出やすい人の特徴 | 出にくい人の特徴 |
自律神経 | 切り替えが鈍い | 切り替えがスムーズ |
骨盤・内臓 | 柔軟で不安定(女性) | 安定しやすい(男性) |
感覚処理 | 繊細に感じ取る | 鈍感で無視しやすい |
ホルモン | 変動が大きい | 比較的安定している |
セルフケア傾向 | 早期に整えやすい | 我慢して悪化しやすい |
最後に
あなたの身体の“声”に耳を傾ける整体を
症状は、身体が「今の状態はちょっと無理がきてるよ」と教えてくれるサインです。
それに早く気づき、適切に整えることができれば、再発しない体・予防できる体をつくっていくことができます。
当院では、解剖学と自律神経の知見に基づき、
「なぜ今その症状が出ているのか」を一緒に紐解きながら、根本から整える施術を提供しています。
どうぞ、安心してご相談ください。