こんにちは。
自律神経専門の整体サロンnaturaの平山です。
つながっているものは、影響し合う
誰かがあくびをすると、つられて自分もあくびが出る。
そんな経験は誰にでもあると思います。
保育園で一人の赤ちゃんが泣き出すと、まわりの子も次々に泣き出す。
コンサートの拍手が、いつの間にか一つのリズムに揃っていく。
これらはすべて「同期」と呼ばれる現象です。

自然界にも例があります。
東南アジアのある地域では、何千匹ものホタルが一斉に同じタイミングで光ります。誰かが合図を出しているわけではありません。一匹一匹がまわりの光を感じ取り、少しずつ自分のリズムを合わせていくうちに、全体が揃っていくのです。
楽器の音叉(おんさ)も分かりやすい例です。同じ高さの音叉を二本並べ、片方を鳴らすと、触れていないもう片方も震えて鳴り出します。これを「共鳴」といいます。
動く板の上に並べたメトロノームも、最初はバラバラなのに、しばらくすると全部がぴたりと揃います。振り子の揺れが板を通じてほかのメトロノームに伝わり、互いを引き寄せていくからです。
あくびも、ホタルも、音叉も、メトロノームも。
共通しているのは、つながっているもの同士は、互いに影響し合うということ。
そして、人間の体も例外ではありません。
人の体も「同期」している
人同士の同期については、さまざまな研究があります。
・親しい二人が一緒に過ごしていると、心拍や呼吸のリズムが近づく傾向がある
・母親がストレスを感じたあとに赤ちゃんを抱くと、赤ちゃんの心拍も上がる(Waters ら, 2014)
・夫婦のストレスホルモンの変動は連動しやすい
・気分や幸福感は、家族や友人のつながりを通じて広がる傾向があるという報告もある(Christakis & Fowler, 2008)
私たちは、相手の表情や声のトーン、体の動きを無意識に感じ取り、自分の自律神経もそれに合わせて反応しています。メトロノームにとっての「板」、ホタルにとっての「光」にあたるのが、人間では目や耳や肌の感覚なのです。
施術室で見る「同期」
natura には、ご家族や親子で来られる方がたくさんいらっしゃいます。そこでよく見かける光景があります。
・施術を受けている方がすうっと眠りに入ると、隣で待っているご家族も、いつの間にかうとうとし始める。
・お子さんのお腹まわりをゆっくり緩めていると、待っているお母さんのお腹が、ぐるぐると鳴り出す。

はっきりとした理由はわかりません。
ただ、静かな部屋で、目の前の家族の呼吸がゆっくりになっていくのを感じていると、見ている側の体も自然と「休んでいいんだ」と受け取るのかもしれません。お腹が鳴るのは、胃腸の動きを司る副交感神経が働き始めたサインのひとつです。
こうした場面に出会うたびに、家族の体は本当につながっているのだと感じます。
関係のストレスは、体に出る
逆に、緊張も伝わります。
アメリカの研究では、夫婦に意見の対立する話題について話し合ってもらったところ、敵意の強いやりとりをした夫婦ほど、小さな傷の治りが遅くなることがわかりました(Kiecolt-Glaser ら, 2005)。
家庭の中にずっと張りつめた空気があると、自律神経は緊張側に傾いたままになりやすくなります。それが肩や首のこわばり、眠りの浅さ、なかなか取れない痛みとして現れることもあります。
子どもは大人以上にまわりの空気に敏感です。家庭の緊張が、子どもの睡眠の乱れや、腹痛・頭痛といった不調と関連することも報告されています。

ただ、これは「誰かのせい」という話ではありません。家族はつながっているからこそ、良いことも、しんどいことも、互いに伝わり合う。それだけのことです。
支えている人も、疲れている
家族の誰かが痛みやストレスで苦しんでいるとき、周りの人も影響を受けています。
心配して、気を配って、生活のリズムが変わって。本人よりも、支えている側のほうが自分の疲れに気づいていないことも少なくありません。
慢性的な痛みの研究でも、家族の関わり方によって、本人の痛みの感じ方や気分が変わることが知られています。支える側が張りつめていれば、その緊張も伝わります。支える側に少し余裕が生まれれば、その余裕も伝わっていきます。
「一緒に整える」という選択肢
だから私は、「その人だけを整える」のではなく、「家族ごと整える」という視点を大切にしています。
そして、それは施術をする私自身にも当てはまります。施術者が落ち着いていること。それもまた、目の前の方の体に伝わる大切な要素だと考えています。
誰か一人が落ち着くと、その穏やかさはまわりにも伝わっていきます。ひとつの音叉の響きが、もうひとつの音叉を鳴らすように。
もちろん、無理に家族みんなで来てください、ということではありません。ただ、
「子どもの不調が気になって、自分もずっと気が張っている」
「家族が痛みを抱えていて、見ている自分もつらい」
そんなふうに感じているなら、あなた自身の体も休ませてあげてほしいのです。
※ 痛みや腹痛・頭痛などが続く場合は、まず医療機関で原因を確認してください。整体は、医療と並行しながら体と心の緊張をゆるめるお手伝いをするものです。
必要だと感じたときに、一緒にどうぞ。natura は、そういう場所でありたいと思っています。
【参考】
・Waters SF, et al. (2014) Stress contagion: physiological covariation between mothers and infants. Psychological Science.
・Christakis NA, Fowler JH. (2008) Dynamic spread of happiness in a large social network. BMJ.
・Kiecolt-Glaser JK, et al. (2005) Hostile marital interactions, proinflammatory cytokines, and wound healing. Archives of General Psychiatry.




















